130年受け継がれる竿師の技法
「紀州へら竿」とはへらぶなを釣る専用の釣竿のことです。真竹・高野竹・矢竹の3種類の竹を主に使用し、それらを組み合わせて1本の釣竿を制作します。原竹の切り出しから生地組み、漆塗り、完成までほぼすべてが手作業で、一人の職人が約1年がかりで仕上げます。
国の伝統的工芸品に指定
明治15年、大阪市で創業した初代竿正が技術技法を確立し、その後原材料である高野竹の産地に近い和歌山県橋本市にて根付きました。
昭和初期のへら鮒釣りブームもありへら鮒釣りは定着し、以後多くの釣り師に愛されてきました。昭和63年には和歌山県の伝統的工芸品第一号として指定され、現在でも師匠から弟子への技の伝承がなされています。その技術・技法の伝統性が認められ、平成25年3月、「紀州へら竿」が国の伝統的工芸品に指定されました。全国の伝統的工芸品は215品目、和歌山県では「紀州漆器」、「紀州箪笥」に続き3品目の指定となります。
伝統工芸品とは
「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(通称:伝産法)」に基づいて、経済産業大臣により指定された日本の伝統工芸品が「経済産業大臣指定伝統的工芸品」となります。
指定を受けるには、次のすべての要件を満たす必要があります。
1)主として日常生活で使われるもの
2)製造過程の主要部分が手作り
3)伝統的技術または技法によって製造(100年間以上の継続)
4)伝統的に使用されてきた原材料(100年間以上の継続)
5)一定の地域で産地を形成